体温が低い奴っていうのは割といるもんで、平熱が36度に満たないやつなんてざらにいる。目の前のコイツ、レッドの平熱もその部類だ。
でも、それは普通の、人類が一番暮らしやすい環境下での話だ。こんな雪山じゃ体温なんてどんどん奪われていく。レッド、と微かに震える唇から絞り出した声。(それは寒さからなのか、)
「…どうしたの、グリーン」
「レッドっ」
「……?」
白の広がる視界に浮かぶ赤。俺の震えた声に確かに返される聞きなれた声。冷たい世界の、微かな温度。そっと手を伸ばせば赤い瞳が俺の顔と手の間を行き来して、もう一度閉じられた。
「レッド!」
変に音量の上がった俺の声にぱちりと珍しく明らかな驚愕の色を孕んだ赤が再び覗いた。
「…どうしたの、グリーン」
「いや、悪い…」
怪訝そうに尋ねてきたレッドに歯切れの悪い返事を返すとやっとレッドが起き上がった。
「…変なの」
困ったように暫く思案した後、そっと俺に触れたレッドの指先は想像通りに冷たくて、俺は鼻の奥がツンとして、胸が詰まるような感覚に襲われた。(そう、まるで泣きそうになったみたいに)
「…大丈夫だよ、グリーン」
「ばっ…か!何がだよっ…!」
絡めたレッドの細い指が俺の熱を奪って暖かくなっていく。目線を少し落として微笑むレッドを俺はかき抱いて、目から零れたものに気づかれないように、俺の体温が伝わるように…、コイツの体温を感じられるように。
「…グリーンあったかいね」
「お前は冷たすぎんだよ!雪山で寝るなバカ!!」


この腕で抱きしめて、確かめたかった
(お前が生きていることを)


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お題抜粋。グリレ?レグリ?


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