混ざる混ざる

2011/10/16 20:01

(エレールとオルフ)







「閣…下……?」

小さく震えた声は薄らと空気に溶けた。ゆるりと振り返った閣下の銀の髪は黒く染まり、果ては見慣れない衣服を身に纏っている。しかし不安に揺れる私に見せられたのは酷く緩やかな微笑み。びくりと肩を揺らす。
「どうかしたのか、オルフ」
紫色の瞳が隠れてしまうくらいに笑ったことなど、何度あっただろうか。
「あ……い、え」
こちらを真っ直ぐに見つめて首を傾げるこの人は、本当に我々を導く紫眼の狼なのだろうか。疑いようもないくらい顏立ちや声はそのものなのに違和感が拭い切れずに思わず視線を逸らす。
「オルフ、怒った?」
かあ、と顏に無意識に熱が集まる。開いた口が塞がらない。なんだこの声色は。
「閣下、葡萄酒でも嗜まれましたか」
「葡萄酒?いや?」
「……そう、ですか」
苦し紛れに絞り出した可能性もばさり。かといって私の勝手な主観で雰囲気が丸いだとか甘いだとかそんな抽象的なことは言えない。
くすり、

小さく笑い声が零された。くすくすと流れるそれに、もう逃げ出してしまいたくなる。いたたまれないというか、どう考えても心臓に悪い。私の下心のせいなのか…情けない。
「今日の私はどこか可笑しいか?」

悪戯に笑って言われた言葉にぴくりと顏がひきつる。顏に出てしまっただろうか。
「……少し」
けれど否定するところでもない。躊躇いつつも肯定すると彼の人はにこりと笑った。
「なんだか違う人格が入り込んだらしい」
は?と間抜けな声を上げてしまうところだった。この方は今なんと仰ったか。
「え、と……」
「半分だけ、別人なんだよ」
硬直する私を他所に、もう一度笑い声が転がる。ああもう!悪夢なら早く醒めてくれ!



(なあオルフ、一緒に葡萄酒飲まないか!)(え、あ、う…はい…っ)






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友達にエレール描いてもらってから凄まじいエレール熱。いまいちキャラ固まってないけど投下。


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