- ナノ -








 「憎むべき愛しい人」









私の家は、とても平凡だった。


さして裕福なわけではない。さして貧乏なわけでもない。

けれど、私に不満なんて一切なかった。

優しい両親と、婚儀を控えたこの身。

とても愛しい、私の許婚。



それを奪った彼を、私は許さない。









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