ヤられた。
掘られた。
襲われた。



どの言葉を並べても、
このショックが癒される事はなく。

部室の隅で膝を抱える俺を。
ジローくんはいつもの笑顔で
笑い飛ばす。




「そんなにヘコまないでよ」

「ヘコむよ!だって俺跡部くん探しに来ただけだよ!?」

「なら早く探しに行かなくていいんですか?」

「何この子!?鬼ッ!?」




手首はヒリヒリするし。
腰はズキズキ痛むし。

何もかもが憂鬱だった。


どんなに落ち込んで見せても
まるで表情を変えない二人に。

本気で泣き寝入りして
やろうかと鼻を啜っていると。




「オイ。お前らこんな時間に何やってんだ」




聞き覚えのある声が
扉の方から聞こえてきた。




「あとべ!」
「跡部くん!」




二人の声が重なる。

あちらから見たら
多分俺は見えなかったんだろう。


意外な声からも呼ばれ。
少し驚いた表情を見せる。




「お前、どこ行ってたんだよ」

「それはこっちの台詞!」




君のせいで酷い目に
合ったんだから。


そう文句を言って
やりたかったが。

深く突っ込まれても困るので。
それは飲み込んでおく事にした。




「まぁいいや。用事って何?さっさと終わらせよう」




早くこの場を
立ち去りたくて。

腰を庇いながら立ち上がる。


出る手前。

扉の近くに立っていた
ジローくんと目が合う。


絡まった視線に
先程の映像が蘇り。

思わず顔を背けてしまった。




「またね、キヨ」




その言葉はどういう意味か。


余り深く考えない
様にしながら。

振り返らずに手を振った。




「…跡部くん」

「あん?」

「君んとこの子って。怖いね」

「…は?」




暫くは近付けそうにないや。


疑問符を浮かべる
跡部くんの隣で。

小さくそう呟いた。






†end

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