「なにも殴らなくってもいいじゃんか…」
頭に拳骨を食らったジローが少々イジケ気味でカーテンを開ける。
朝の日差しで部屋が明るくなった。
「にしても、いつも寝ているジローに早く起きろって言われても説得力ないわね」
天蓋付きベッドに腰掛けて、スリッパを履きながら嫌味を言う。
「それは言わない約束だC〜」
窓の外を眺めていたジローが、くるりとこちらを向いて照れるように笑った。
その笑顔が可愛くて、思わず顔が綻ぶ。
ギュッて抱き締めたくなるような、そんな笑顔。
「まったく…」
そう呟いた時。
ふわりとカーテンを揺らしながら微風が入ってきた。
と同時に、コーンスープの良い香りが部屋いっぱいに広がる。
「ん〜、E〜香り。では、朝食の用意も出来たようですし。俺は先に行きますので、お嬢様は早く着替えてくださいさいね」
ぺこり、と丁寧にお辞儀をしてドアへ向かう。
「三度寝は羨ましいから駄目ですよ〜?」
そう笑ってから、またゆっくりとお辞儀をした。
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