壁にもたれ掛かり。
揺れる電車に身を委ねながら。
外を走る景色を眺める。
脳内で繰り返されるのは
先ほどの会話。
本心を隠して、
逃げるように嘘を吐いた。
本当は稽古なんてなかった。
。
でもあの人がいたから。
だから俺は断る事しか
出来なかった。
──あの人さえいなければ
何度も繰り返される
虚しい響き。
その響きはとっくの昔に
バレているのだろうけど。
でも、どうする事も出来なくて。
捨てる事も出来ず。
伝える事も出来ず。
ただ想う事しか
出来ない俺は。
いったいどうすれば
良いのだろう。
窓に映っている自分が。
泣いているように見えた。
†end
ShortDream