「だ、壇くん大丈夫!?なんで私の下敷きに‥!?」



う〜…っと言って体を起こした壇くんの背中を、慌てて払う。




「ごめんね。どっか痛いとこない?」



砂まみれだ。

本当は私がこうなる筈だったのに…。




「ごめんなさいです」

「…え?」




予想外の言葉に、
思わず手が止まる。





「だ、壇くんが謝ることないよ。だって私が無理矢理運んだんだし。さっきだって、私が怪我しないように咄嗟に下敷きになってくれたんでしょ?」


「違う…です」





下を向いたまま否定する。

今にも泣き出しそうな。震えた声。





「本当は、先輩を抱き止めようとしたんです。でも、僕には力が足りなくて‥それで‥‥」







それで、

一緒になって倒れて、私の下敷きになったわけか。




思わずクスリと笑う。






「ありがとう。壇くん」






それを聞いて、壇くんは顔を上げる。




「ほら!壇くんのおかげで、傷どころか砂もついてないよ」




そう言って笑ってみせれば。

壇くんも少し安心したように笑ってくれた。






「ありがとう」





もう一度言って、
手を差し出す。


その手を、少し躊躇いながらも壇くんが握る。



しっかり持って引き上げれば、
思った通りの軽さだった。





「ありがとうございます」





恥ずかしそうに言って、
お尻の砂を払う。




「じゃあ、あのダンボールは私が─「僕が運びますから、名字先輩は休んでてくださいです!」




いつもよりはっきりした言い方に、少し驚く。


その間に、壇くんはダンボールを持ち上げて運び始めた。








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