落とす小石も無くなってふと前を見ると。
ヘッドライトをつけていない車が、月明かりに照らされながら此方に向かって走って来ていることに気付く。
──あの車だったら、私に気付かないで走って来てくれるかもしれない…。
もう、いいや。
だってもう疲れちゃったよ。
サエ兄。
少し微笑んで一歩踏み出す。
──バイバイ。父さん、母さん。
皮肉そうに笑って、もう一歩踏み出す。
──サエ兄。今、逢いに行くね‥
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