「あれ…?」


ジローに似合いそうな栗色のジャケットを見つけ、急いでキッズ広場に戻ってみれば。

そこにいるはずのジローの姿がなくて。


まさか勝手にどこかへ行ってしまったのかと辺りを見回してみるが。

それらしき子供は見当たらない。



「…もしかして」



慌ててジローが居た小さな家へと駆け寄る。



確信にも近いこの予想。

そもそもよく考えてみれば分かる筈だ。


テンションの高いときのジローは物凄く元気だけど、逆の場合はどうなる。

直ぐに燃料が切れて集中力がなくなったジローは──…



「あー…やっぱり」



小さな窓に手を置いて、安堵と呆れのため息を吐く。


家の中には羊のぬいぐるみを枕にして眠る金髪の男の子。

その隣には、同じく犬のヌイグルミを枕にして眠る赤髪の男の子。



この子は何処の子だろう…


考えてみるけど、こんな派手な髪色をした子は覚えがなくて。


まぁ、子供というのは無邪気な分友達も出来やすい。

きっとここで出会って仲良くなったんだろう。



スヨスヨと静かな寝息が聞こえてきて、二人のお腹が上下する。


時々寝返りをうってはまた上下して。

くしゃみ混じりの寝息に少し笑う。




「一瞬明日の新聞の見出しが脳裏に過ぎったじゃないか…」



はぁーともう一回盛大なため息を吐き。


風邪引かなきゃいいけれど。


そんな事を思いながら、いつ起こそうかと頭を掻いた。





†end

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