石畳を踏みながら整えられた木々の間を抜けると、憩いの場には最適な小さな丘に出る。

きっと今日みたいな天気の良い日には、此処でお弁当を広げたら素敵だろうと想いを馳せていると。




「あ!ほら見なよ、やっぱりあっちから来た」

「ふふ、ホントだ」




その先から、聞き慣れた、しかしとても懐かしい声が聞こえてくる。



──あぁ、ずっと会いたかったわ‥。



芝を踏み締めながら懐かしさに目を細め、二人の姿を想像して記憶の中で微笑む。

きっと彼方も同じ表情で私を見ていることだろうと、久々の再開に胸を踊らせながら顔を上げれば。




「‥‥。今北産業」

「二人で、公開、ストリップ」

「えぇ!?」




何故か服を脱ぎ合う二人がいた。










「…何だ。暑かったからセーターを脱いでただけだったのね」



二人に向かい合うように芝に座り、脱いだセーターを畳む姿を眺めながら少し安心したように息を吐く。

一瞬頭の中に"110番"が浮かんだことは内緒にしておこう。




「もぅ、変なこと言わないでよ!」

「あはは、ごめんごめん」




恥ずかしさに頬を赤らめながら怒り、それに悪びれもせず笑いながら謝る。

昔と変わらない風景に、無意識に胸内がきゅうっと締め付けられる。




「でも良かったわ、二人が元気そうで」

「うん。麻帆ちゃんも元気そうで安心したよ」

「んー、もう少し汐らしくなってるかと思ったけど」

「何か言ったかしら?」

「イエ何も」




相変わらずのやり取りに、自然と三人の表情も綻んで。




「…詩史、悠子‥──っ久しぶりね!」




満面の笑顔で、両手をいっぱいに広げて二人へと抱き付いた。








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