耳に入るのはソファーの軋む音。
濃厚な粘着音。

そして荒い息。


そこに喘ぎが混じり込み。
部屋は異様な空気に満たされていた。




「ほんっと、なまえって締まりいいよねぇ」

「言わなくて、ン…っい、ぃ…ッ」




余計な感想を言う臨也は。

決して身体を重ねる事はせず、上から眺めるようにして私を犯す。


それはセフレという微妙な関係の距離なのか。
それとも性行為すら彼にとっては観察対象なのか。




──…顔は、良いんだけどね。




外見からしたらかなり勿体無い内面を持つ目前の優男に、憐れみとも同情とも取れる視線を向けていると。

それに気付いた臨也が。
小首を傾げて笑う。




「なに?キスして欲しいの?」

「いらない」

「うわ、即答」




傷付いたなぁと言いながら。

律動を止めて、縋るように触れていた手を包み込む。


そしてその手を肘まで伸ばし。
繋がったまま、私の身体を抱き上げた。





「でも、キスをねだらない女は好きだよ」




そう言って、私の耳にキスをする。


それは良く出来ましたと言う愛撫であり。
私の箍(たが)を外す行為でもあった。




「動いて」




囁かれて。

箍の外れた私は、恥じらう暇もなく腰を揺らす。


好みのポイントへと落とす度。
臨也の肩に置いた手がピクリと震えて。



綺麗に歪む唇。
薄く嗤う瞳。



そのまま首筋に顔をうずめたまま、散々淫らに啼いた挙げ句。

最後は一層奥まで突き立てられて。


後に彼がイくのを感じながら。
私も意識を手放した。







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