"キスをねだらない女は好きだよ"
まるで恋愛感情などない。
冷徹で冷酷な台詞。
その境界線を跨ぐものは、きっと容赦なく切り捨てられる。
──まるで怯えた子供だな。
ソファーに身体を沈め。
眠気の増す頭で考える。
愛される事を好まないくせに、誰よりも愛されたいと豪語する。
満たされない感情。
意地らしい内焦。
だから私のような女を作って。
満たされようと足掻いてみせる。
「…馬鹿みたい」
「誰が?」
独り言のように呟いた言葉に返事が返ってきて。
そちらを見れば。
そこには先程まで私を抱いていた臨也が、ペットボトルから水を飲んでいた。
「目、覚めたんだね。そんなに悦かった?」
多分イったのを最後に意識が曖昧になった事を言っているのだろう。
わざわざ聞く辺り。
何故こんなにもひん曲がった性格になってしまったのかが気になる。
「残念。疲れただけです」
そこで顔を赤くする程私は初でもないし、純情な乙女でもないので素っ気なく答える。
多分自分も自分で、こうやって境界線を作っているのかもしれない。
そんな私に、臨也は「ふーん」とだけ言って、飲みかけのペットボトルを渡す。
一瞬躊躇いながらも、それを素直に受け取って口を付ければ。
火照った喉に染み渡る。
少しずつ飲みながら身体を潤して、今日の終わりを深々と感じていると。
「はい、じゃあ休憩終わり」
「…は?」
意味も分からずペットボトルを回収されて。
そのまま臨也が私の上に被さってくる。
「ちょ、ちょっと待って!またするの!?」
「え?当たり前だろ」
「当たり前って、今終わったとこじゃない!」
慌てて抗議している間に、どんどん体勢は整えられていき。
言葉の端が小さく消える頃には。
臨也の満面の笑みと共に。
私の喉が熱くなる。
「せっかく来たんだからさ。24時間、しようよ」
それは子供のような無邪気な顔で。
2人で引いた境界線。
踏み越えるのはどちらが先か。
†end
偉大なる悪友に捧げます。
DRRR ShortDream