始業式という名のお昼寝タイムが終わり、各自指定された教室へと移動する。
クラス替えはもちろんあったが、小・中と通っていれば半数以上が顔見知りになり。
さして変わらない顔触れに、大体の人がうんざりしている様子だった。
「なんだ、また白石と同じクラスか」
「それはこっちの台詞や」
奇跡的9年連続同じクラス。
小学校から中学に上がったときはやっと離れられると思ったのに、また同じクラスだったときは驚いたものだ。
まぁ、ここまでくれば驚きを超えて感心するけど。
「なーなー、今日転校生が来るっちゅー話やで」
特ダネを仕入れてきた喜びに、謙也が顔をキラキラさせながら二人の間に割り込んできた。
ちなみにこいつとは3年連続同じクラス。
どうやって決めているのかは知らないけど、もう少し考えてくれても良いと思う。
「転校生?この時期に?」
「あぁ、何でも熊本からわざわざこっちに転校して来たらしいで」
「へー熊本から」
気が付けば、クラス全体が謙也の話に耳を傾けて目を爛々と輝かせていた。
それもそうだろう。
滅多にない転校生。
今まで通りだと思っていた日常に、大きなイベントが舞い込んできたのだから。
男子か女子か。
どんな子なのか。
すっかり転校生の話題で埋め尽くされた教室を眺めながら。
これから始まる生活に、一人思いを巡らせた。
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