小説 | ナノ
therefore kill you 3


「全ての道がローマに通じるよう、僕にとっては全ての現象が殺人に通じるだけなんだよ」

変だと思われても構わない。
異質だと思われても構わない。
だって僕は普通(ノーマル)じゃない。
異常(アブノーマル)だから。


「ちなみに理事長からは君達を絶対に殺さないよう言いつけられているんだ」

僕は右手に持っていた日本刀を両手で肩の位置くらいに持って来て構えた。

「だから殺す」


早く真黒くんに会いたい。


「…………。さがっておれ貴様達。こやつの相手は私がする。私以外ではこやつの相手は務まるまい」

早く真黒くんに会って殺したい。目の前の彼女を見ながら僕はそう思う。その時だった。

「駄目だよーん、めだかちゃん。怪我人はおとなしくしとかなきゃ!」

「!?」

彼女の胸を後ろから大胆にも掴み、抱きつくバカ(真黒くん)。よくもまぁ妹の胸をそんな風に鷲掴み出来るものだ。
彼は一瞬で彼女に近くにあった岩に投げ飛ばされた。 後で文句を言おう。


「殺人犯に続いて変態とは…。すさまじき層の厚さだな『十三組の十三人』!」

金髪の男がそう言う。

「いや 阿久根先輩よく見てください。あれは変態ですが、めだかちゃんのお兄さんです」

変態なのは同意するよ。それと真黒くんは元『十三組の十三人』だ。

「真黒さん、どうして真黒さんがここに――」

「愚問だな善吉くん。妹あるところに兄ありさ。妹のピンチを見学しに来ない兄は兄じゃない!」

彼女の髪を少し切ってしまったことは言わないでおこうかな。後が怖い。

「それより、しばらくは乱神(そのまま)でいることだめだかちゃん。気休めだけど怪我の回復が多少は早まるよ。そんなことだろうと思ったけれど 既に相当無理をしたようだね」

真黒くんは本当に妹のことになると必死だね。真黒くんが来たってことはやっぱりこの中にいるのかな。

「トレーナーストップだ、休みなさい」

彼女も真黒くんのマネジメントを受けていたんだね。
それにしても、

「…だったら僕の相手は誰がしてくれるんだ? 誰を殺せばいい?」

バラしてはいけない。口外してはいけない。

「やー 宗像くん久し振り! 僕のこと覚えてる?」

演技が上手いね。

「変態でおなじみ! 魔法使いの黒神真黒くんだよーん!」

じゃあ僕も頑張ろうかな。殺(ため)すために。

「憶えているさ、僕に暗器を教えてくれたのはお前だからな」

始めようか、真黒くん。

「お前のおかげで僕は恐ろしき人殺しから、悍ましき人殺しになれたよ」

実際そうなんだけど。

「…………。そりゃよかった☆ 勿論、僕が与えた力をどう使おうと君の自由だ☆」
殺したいなぁ。

「僕は人間の限界に興味かある(妹のハダカ以外に)きみは間違いなく限界の体現者だよ、宗像くん」

何か小さい声で間に聞こえた気がするけど、ろくなことじゃないだろうし聞かなかったことにしよう。

「同期の『十三人』の中じゃ僕は きみのことが一番好きだな」

本音が混じった言い方だね。

「ところで! 君の相手を誰がしてくれるかだっけ? 心配しなくてもそんなことは決まっているよ」

真黒くんは足を動かして彼の所まで近づく。
他分それが僕に会わせたい子だ。


「行けるね? 善吉くん」
真黒くんが手を置いたのは金髪と茶髪が混ざったような髪色の善吉と呼ばれる男の肩だった。

そう、彼か。

「はい 行けます!」

驚いた顔から一変して、彼の表情は引き締まった。

「んっ! よく言った!」

いい目だな。殺したくなる。

「……! 待ってくださいお兄様! ここはやはり私が行くべき――」

彼女は騒ぎ出す。

「おいおいめだかちゃん、そんな大きな声を出すなよはしたない」

そうだね。女の子がそんな風に声を荒げるものじゃないよ。

「べきとか務めとかお堅いことを言わず、たまには黙って甘えてあげてもいいんじゃないかい? 男の子が女の子のために可愛らしく格好つけてるんだからさ!」

君はたまに良いことを言うよね。たまに。

「信じてやりなさい。十三年間絶えることなく化物(おまえ)の隣にいた男だよ」


僕の目の前にやって来た彼は黒の上着を脱いだ。

「女子をかばって前に出るなんて、きみはきっと優しい子なんだね。とても仲良くなれそうな気がするよ だから殺す」

仕込んである暗器を出して僕は構える。

「やってみろ限界野郎、俺は殺されたくらいじゃ死なねえよ!」

限界゛野郎 ね。まぁ良いや。
彼も拳を握って構えた。


さぁ、僕の殺し(試験)が始まるよ。








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