therefore kill you 2
「…………。私達の相手をしている暇はないのではなかったのか? 宗像三年生」
「ああ、うん。そう言って信用させたほうが殺しやすそうだったからね」
そのほうが争うよりも良いから。
「僕は高千穂と違って戦う人間じゃないからさ。僕は殺す人間だ。黒神さんみたいな強い化物を相手取るにはそれなりに策を巡らせなきゃ」
「殺すって…、何言ってんだお前…?」
金髪と茶髪が混ざったような髪色の男がそう言う。彼の名前は知らないな。
「別に驚くことはないよ、当然のことさ」
誰だ? 右脳と左脳だったっけ……。
「彼は人殺しのテクに異常なほど長けた指名手配中の殺人犯なんだから」
「「「!?」」」
二人はそのまま続ける。
「最初の殺人は驚くなかれ五歳の時。犯行動機は『殺したら死ぬか試してみたかった』から」
「以来 彼は世界各国で数え切れないほどの人数を殺してきた」
「人間を見ると殺すことしか考えられない、そんな彼が普通の生活を送れるはずもなく、今はフラスコ計画の協力と引き換えに理事長に匿われている状態だ」
匿われている……。違うけど。
「生まれついてのシリアルキラー」
「それが彼『枯れた樹海』の宗像形なのさ!」
似たような声って気持ち悪いな。
「…人を無差別殺人犯みたいに言わないでよ、傷つくな」
それに酷い。
「僕は理由なき殺人者じゃない。理由ありきの殺人者だ」
僕は今作業中だ だから殺す
君達の相手している暇はない だから殺す
通せんぼしない だから殺す
僕は争いが嫌いだ だから殺す
黒神さんをメンバーに引き入れるつもりはない だから殺す
「今日はとてもいい天気だ だから殺す」
「昼ごはんがおいしかった だから殺す」
「昨日の夜はいい夢を見た だから殺す」
「楽しみにしていた映画の封切りが近い だから殺す」
「携帯電話の電池が切れそうだ だから殺す」
「特に何もない だから殺す」
あぁ、殺したい。
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