小説 | ナノ
therefore kill you 0


――僕には理事長が言うほど大した奴には見えませんでしたけどね。
――サイコロ占いの結果には驚かされましたが、彼女 僕達がここにいるのにも気付いた様子はありませんでしたし。




と、僕は言ったけど。
彼女、「黒神めだか」は多分気付いていたんだと思う。高千穂が言った通り、気付いていた上で無視していたことくらい分かる。
だって、なんせ彼女は彼の妹だから。




大好きなビオトープにある日本風家屋でボーッとしていたらズボンのポケットに入れていた携帯のバイブが鳴った。

僕は携帯を取り出して画面を確認する。


メールの差出人は[黒神真黒]

僕に暗器を教えてくれた人。
……僕の最初の『友達』になってくれた人。



Time 13:01
From 真黒くん
Sub 久しぶり☆
――――――
元気してる?
実は君に頼みたい事があってね
一度こっちに電話を寄越してくれないかな?

-----END-----




最初からメールじゃなくて電話すれば済むのに面倒なことをするね。
まぁ良いや。僕もちょうど真黒くんの声が聞きたかったし。
メール画面を待ち受け画面に戻してから電話帳を開く。そこから真黒くんの携帯番号を選んで、僕はコールした。


prrrrr… p、

『やぁ、形ちゃん。変態でおなじみ! 魔法使いの黒神真黒くんだよーん!』

「…………」

ワンコールで出たのは良いけど、電話する度にそのセリフを言うのは止めて欲しい。
『もしもーし、形ちゃん?』

「……もしもし」

『ごめんね、メールでも良かったんだけどやっぱり君の声が聞きたくてね』

それはちょっと嬉しいかもしれない。

「何の用」

『それなんだけどねー、多分早いうちに君に会わせたい子がいるんだ。』

「……会わせたい子?」

『そう。それと、その子の最終試験に手伝って欲しいんだ』

ということは、真黒くんはその子のマネジメントの仕上げ段階か。


『もしかしたら、君に友達が出来るかもね』

「ふうん。……良いよ、真黒くんに付き合ってあげる。僕がその子を殺(ため)すよ」
『付き合う!? 本当かいっ!! よし、じゃあデートプランを立てよう』 真黒くんは頭が良いのにどこかバカだ。

「そっちの付き合うじゃないことくらい分かってるよね」

『つれないなぁ……。ま、よろしく頼むよ、形ちゃん』

それと、僕も行くつもりだから。でも、このことは口外するのは駄目だよ? あえて知らないふりをしてくれると助かる。

「分かった」

『これが終わったらデー』

Pi

僕は真黒くんが言い終わる前に電源ボタンを押した。








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