小説 | ナノ
you not kill of life 2

善吉と呼ばれている彼の拳の一撃で、僕の太刀は天井に突き刺さってしまった。 ああ、面倒だな。抜かないといけないじゃないか。

「…へぇ、太刀(これ)じゃきみの命は殺せないみたいだね」

僕は袖に仕込んだ刃物をあるだけ出した。

「じゃあ多刀(これ)だ」

そう言って彼に剣撃を浴びせるが、全て彼は受けきっている。結構速くやってるつもりなんだけど、彼も相当のスピードで僕の剣撃に追い付いている。それに恐ろしく丁寧かつ几帳面。一度に使える数は限られてるから順番に一本ずつ迎撃するなんて、よくやるよ。それに僕の手放した刀剣達は天井に一本ずつ突き刺さしている。よく蹴りあげることができたね。

「やるじゃないか一年一組くん。どうやら多刀(これ)じゃあきみの命は殺せないみたいだね」

ちょっと重いけど、仕方ないな。

「じゃあ鈍器(これ)だ」

取り出したのはハンマー。何キロかは忘れたけど、関係ないよ。彼を殺(ため)すためだ。

「…………! シティハンターの相棒かよアンタ…!!」

生憎それはよく知らないな。というかどうでも良いや。使えれば。僕にとって武器は魂でもないしましてや分身でもない。ただの人殺しの道具にしかすぎない。ああでも日本刀は好きだな。一番落ち着く気がする。
僕はハンマーを持ち、彼に目掛けて接近した。

グア

「!!」

ガッ

ふぅん…。
弾き飛ばせない重量と見たら正面から受け止めるんだ。

彼が蹴りで僕を狙って来たからハンマーを手放して一端離れる。
ハンマーは重い音を出して地面に落ちた。

「…………クッ!」

次はもう少し考えて出してみようか。

「ふむ、よし。大体把握できたよ一年一組くん」

さっきのハンマーよりも数倍重いけど。

「ちょっと待たせてしまったけれど、ようやくきみの殺害方法がわかった」

出すのも一苦労だ。

「きみの命を殺す武器はこれだ」

鈍さと鋭さをあわせ持つ狼牙棒。次元は違うが、れっきとした暗器らしい。真黒が教えてくれたそれより強化したけど。
横にしていた狼牙棒をゆっくりと立てる。それにしても重いな。

「これなら弾くことも止めることもできないよね。この長さなら僕のノロさも十分カバーできるだろうしさ」

「…………。えーっと…、今更ですけど宗像先輩、それをお借りするってありですか?」

まさか。

「…………なしだ」

狼牙棒が音を立てて彼を襲う。だが布で刺を巻き取られた。多分彼が着ていたシャツだろう。

「だったら仕方ないですね。肌に合う服(やつ)で防御させてもらうとしますか!」

シルク素材ね……。

そして彼は足で僕の腹を強い衝撃と共に蹴った。……っ、これは結構来るね。そのまま僕は床に打ち付けられながら滑る。
痛いなあ、なんてもんじゃないよ。

「…………そうか。狼牙棒(これ)でもきみの命は殺せないのか」

刀剣の突き刺さっている天井を見上げて僕はそう言った。


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