壱ノ1の教室は騒がしい。それも俺の幼なじみの話だ。
「ねぇ 聞いた? 新しい生徒会長の噂―」
「私達と同じ入学したての一年のくせに
冗談みたいに態度エルな奴なんだって―」
「引くほど美人なんだけど やることなすこと滅茶苦茶に型破りでさ、先生もビビって手ェ出せないそうだぜ―」
めだかちゃんが美人なのは当たり前だろ。だって俺の幼なじみなんだし。
机に顔を伏しながら俺は思う。原作沿いならこの後、
「しっかしあのお嬢様 全校生徒を前によくあんな啖呵が切れるもんだよ。人前に立つのに慣れてるっつーかさー♪ 」
半袖ちゃんが話しかけてくる。
「カッ ありゃあ人の前に立つのに慣れてんじゃなくて人の上に立つのに慣れてんだ!」
俺は顔を上げてそう言う。 めだかちゃんは中学校でもそうだったし。というかそういう設定だし。
「んー あー そりゃそーだね。そーでなきゃ 一年生で生徒会長になんかなれっこないか♪」
きゅぽきゅぽ可愛いな半袖ちゃん。
「それも支持率98%! ぶっちぎりのナンバーワンだもんねー!」
あとの2%が惜しいよな、どうせなら100% にして欲しいね。ま、それじゃ話が始まらないしいいか。
「かくゆう あたしもあのお嬢様に清き一票を捧げたわけですが♪」
もちろん俺も入れた。当たり前。
「全国模試では常に上位をキープ! 偏差値は常識知らずの90を記録し! スポーツにおいてもあらゆる記録を総なめ状態! 手にした賞状やトロフィーは数知れず! 実家は世界経済を担う冗談みたいなお金持ち!」
知ってる。
「全長263.0メートル 高度8万フィートをマッハ2で飛行! インテル入ってる!」
「いや、途中から人類じゃなくなってる」
どこの戦闘機だ。
「で? 人吉はどーすんの?」
何が?
「お嬢様が当選したってことは とーぜん人吉も入るわけ?」
そんなこと、答えはもう決まっている。
「カッ! 振り回されるのに慣れてんだ。今さらそんな迷いなんてない」
ガタッ と椅子から立ち上がる。
それにめだかちゃんからも誘われている。
「俺は絶対! 誰に何を言われようと、生徒会に入る!!」
あ、大幅に原作崩壊したけど、良いよね神様。
ビシッと人差し指を向けた俺の後ろにはそれの真似をしてめだかちゃんが立っているはずだ。
「そうか、嬉しいぞ弥善(みよし)。」
そう言って俺の肩を掴んだめだかちゃんはそのまま生徒会室に直行だった。