めだかちゃんに頭を掴まれて、引きずられてやって来たのは生徒会執行部。

椅子に座って首を押さえている俺はめだかちゃんに言った。

「もう少し普通に連れてきて欲しかったな。生徒会長さん」

「ふん、貴様が嬉しいことを言うからだ。それに、よそよそしい呼び方をするものではないぞ。いつものようにめだかちゃんと呼ぶがよい!」

凜っ!! という効果音? とともにめだかちゃんはポーズを決めた。それにしても可愛いすぎる。
さてさてここで軽く説明が入る。

箱庭学園における生徒会は、通例 会長・副会長・書記・会計・庶務と五つの役職で構成されるが、何せ支持率98%の生徒会長である。同格の生徒などそうそういるわけもなく全業務を会長一人で執行しているのが現状だ。
さすがはめだかちゃん。

「キツいのは分かるけどさ、でも俺ができることって限られるんじゃないか?」

めだかちゃんは制服を脱ぎはじめている。

「めだかちゃんってば昔からそうだよね、ことあるごとに俺を道連れにするの」

「一応、俺にも用事とかあったりするから少し考えて欲しいというか」「別にやりたくないからじゃなくて、めだかちゃん一人でも生徒会業務をやり続けられると思う……めだかちゃん、その脱ぎ癖は止めようか」

いや別に? 俺は私でもあるからそんないかがわしいことを考えたりはしないよ? だけどね、少しは恥じらいを持ってほしい。めだかちゃんの下着可愛いけどね。

「? 私と貴様の間に恥じらいなど何の意味がある。少なくとも貴様が泊まりに来た時は私と一緒に風呂に入っていたのだから」

「それはめだかちゃんが無理矢理」

「弥善、私は仕事を手伝ってもらうために貴様を誘った訳ではないぞ」

「ん?」

とりあえず何かはおったほうがいいと思うよ、めだかちゃん。

「私は仕事がキツいと思ったことなど、生まれてこのかた一度もない」

そうだね。その通りだ。

「私に貴様が必要だから、そばにいてほしいだけなのだ」

めだかちゃんが可愛いすぎて吐血しそうだ。

「…あ、うん」

「で、さしあたってこの目安箱なのだが。先ほど開いてみたところ、早速 第一号の投書があった」

確か剣道場のか。

「もう来たのか」
選挙戦における黒神めだかの公約のひとつがいわゆる目安箱の設置だった。
『貴様達の夢は貴様達の所有物だ。自ら挑み、自ら叶えよ! しかし貴様達の悩みは私の所有物だ。ひとつ残らず私に貢げ!!』
そのような大言壮語の末、めだかちゃんは生徒会長に選出された。

「まさかあの演説を本気にする奴がいるとは思わなかったな」

本当にね。

俺はめだかちゃんに手紙の内容を聞いた。ま、一応確認ため。


「『三年の不良達が剣道場を溜まり場にしていて困っています。どうか彼らを追い出してください』――だそうだ」



さあ行こうじゃないか。








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