泣き虫
幼少時
「ひっぐ、うっ、えぐっ、うわぁ〜ん!!」
「松寿」
「うっ、うっ……。は、白亜?」
未だに泣き続ける松寿の名前を呼ぶと、こちらを見て僕の名前を呼んだ。
「また泣いてるの? 原因は松寿の兄かな」
「わ、我はいら……」
「いらないって言われたんだ」
松寿の言おうとした言葉を僕が紡ぐ。
「うっ、ひぐっ」
「泣かないでよ松寿」
「だ、だって……」
下を向き、こちらを見ようとしない松寿の頭に僕は自分の手のひらを置いた。
「松寿がいらないだなんていう奴は、例え松寿の兄であろうと親であろうと僕は許さない。大丈夫、何とかしてあげるよ」
「本当に……?」
「うん、だからさもう泣くのは止めなよ」
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