闇夜



「あーあ、全く……なってない」

白亜はクナイの持ち手の下にある輪に人差し指を入れてクルクルと回していた。それも、息絶えた間者を右足で踏みつけながら。

「ぜんぜんなってないよ、最近のやつは」
冷たい目をしている白亜は、いつものふざけた様子とは全くの別人のようだった。

「いくら暗殺とか闇討ちとかっていう言葉があるからってさ、そういうの止めてほしいんだよね〜」

踏みつけていた足を降ろしてから死体を転がす。

「殺るなら堂々と。……弱者は考えることが稚拙だから嫌になるよ」

白亜は、クルクルと回していたクナイを突然後ろに放り投げた。すると、男のうめき声が上がった。投げたクナイが隠れていたもう一人の間者に当たったのだ。


「僕がいる限り、元就には指一本触れさせないよ」


そうして闇夜の庭には白亜だけが残った。







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テーマ「人外ファンタジー」
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