膝枕
昼餉も終わって数刻、元就は僕の膝を枕にしてお昼寝中だ。昼寝をする時は必ずと言って良いほど、僕が膝枕をしている。元就が言うには「貴様の膝以外で眠れるか」だそうだ。なんか嬉しい。小さい頃は僕が弥三(やさ)に膝枕しようとすると「白亜のひざは我の」なんて、顔を真っ赤にして照れながら言ってた。結局、右膝に元就(その頃は松寿)左膝に弥三郎(今の元親)の頭が乗ることになった。二人とも可愛かったなぁ、なんて思いながら元就の頭を撫でる。指通りの良い、手入れの行き届いた髪だ。それに少しふわふわして心地が良い。
「ふふ、寝顔は変わらないね」
元就は目を覚まさないものの、少し身動ぎした。
「可愛いなぁ」
僕にしかそんな所を見せないから。
「ずっと一緒にいれたら良いな」
ねぇ、元就。
「当たり前ぞ」
「あれ……。起きてたの?」
これからも僕の傍にいてね。
「フン……。白亜、我はもう一眠りする」
「はいはい、元就の仰せのままに」
元就はまた昼寝を再開した。もちろん僕の膝の上で。
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