『 ねぇ 』

「 何? 」

『 宿題 て「 手伝わないよ 」 …まだ最後まで言ってないんだけど 』

「 どうせ言うんだから 」

『 だからって私の揚げ足とらないでよ 』

宿題を手伝って欲しいと言おうとしたら いっこうにスマホから目を離さない研磨は私が、宿題、と言おうとしたのを先読みして言った。


『 少しだけだから 』

「 …輝の少しは数学のプリント五枚、…しかも一年の復習だし それと英語のワーク、輝のやった所、殆ど綴り間違ってばっかだし 」

『 だって数学と英語嫌いだもん 』

「 もん…って 可愛くないよ 」

『 私に可愛いさ求めたらいけないよ 』

「 …(黙ってれば可愛いのに)」


数学は特に大嫌いです。
もう二次関数とかお手上げです。


『 ねー 研磨ァ〜 』

「 クロに手伝ってもらえばいいじゃん 」


『 研磨じゃなきゃやだ 私死ぬ 』


研磨は結構頭が良い、クロも、髪形は変だけど頭が良い(なんてこった、中二病の癖に)のに意地悪だから教えてくれないし馬鹿にしてくるから たまに誉めてくれる研磨のほうがいいのだ。


「 そんなこと言っても『 アップルパイ』 え 』

『 手伝ってくれたら焼いてあげる 』



「 …何を手伝えば良いの? 」


『 研磨ありがとう 』



「猫にまたたび」ならぬ、研磨にアップルパイ、作戦成功である。





▼猫にまたたび
・大好物なもののたとえ。また、相手にそれを与えると効果的であるもののたとえ。◇ネコ科の動物がまたたびの実を好み、食べると一種の酩酊(めいてい)状態になることからいう。