姿が [2/9]

突然やってきた審神者見習いという女性は、ある日その本性を現した。刀剣男士たちはわたしを主と思わなくなり、その女性にばかり構ってわたしの言葉を聞かなくなった。そればかりか、わたしは刀剣男士たちに刃を向けられた。

「○○の為に死んでください」
「あんたは俺たちの主なんかじゃねぇよ」
「俺たちの主は○○だ」



信じていた初期刀の山姥切だけは違うと思ったのに。


「山姥切、助け……」

伸ばした手は振り払われて。
わたしはなにもかも信じられなくなった。
わたしの本丸は悪女に乗っ取られた。ここにはもうわたしの居場所はない。
かつてわたしの刀剣男士だった彼らに切りつけられた傷が痛む。地面に這いつくばって腕の力だけで前に進む。ズルズルと重い体を引きずるわたしは本丸の外にある桜の木の根元にある「うろ」に体をすべりこませた。そうしてわたしは気を失った。




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