アヤト [15/21]
*侍口調夢主
スッゲー嫌なもんを見た。
いつも歩いて登校してくる雪路が今日は何故かリムジンで登校してきた。それだけならまだ許せた。だけど雪路がリムジンから降りた後に出てきたのは白い学ランを着た金髪の男。猫の耳みてぇな跳ね方をした髪をしてて笑えたのに、雪路がそいつといることにムカついて笑えなかった。
短い会話が終わり、その男はリムジンに乗りこみ、エンジン音を立てると去っていった。
その男と話をしてるときの雪路の顔は笑っていて楽しそうにしていた。それにイライラして俺は近づいた。
「おい、雪路」
「? アヤト殿、こんばんはでござる」
「さっきの男誰だよ」
「見ていたのでござるか?」
「いいから答えろよっ!!」
大きな声を上げると雪路は目を丸くした。
「あ、その……何と説明したものでござろうか。……そう、千景殿とは従兄でござるよ」
「ちかげ……? 本当に従兄か?」
「そうでござるよ」
……んだよ、びっくりさせんなよ。
「今日は送ってもらったのでござる」
でもムカムカしてんのは変わんねぇ。だって雪路が笑っているから。
「アヤト殿?」
「なぁ、お前……。あいつとは何も」
「アヤト殿が思っているようなことは無いでござる。それに、千景殿には見初めた女子(おなご)が既にいるとか」
雪路のきょとん顔が可愛いとか思ってねぇかんな。……思ったけど。
「それにしてもアヤト殿は心配性でござるな。でも、そんな風に思われるのも悪くないと思ったのも確かでござる」
「……そうかよ」
「だから拙者はアヤト殿のことが好きでござるよ」
俺様の為に向けられた笑顔に、いつの間にかムカつきも収まっていた。変わりにスッゲー恥ずかしくなった。
「……っ、嬉しいとか思ってねぇからな」
正反対の言葉が出てしまうくらいに。
@@補足@@
・実は侍口調夢主は薄桜鬼SSLとのクロスオーバーしてる設定の元に書いてました。・白い学ラン、猫耳みたいになってる金髪で分かる人は分かる。あの婚活鬼である風間です。
・長編では書けないのでこっちにちまちま書いてます。
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