夏目 [2/12]




夏目くん
夏目くんは妖が見えるんだよね
私もね 見えるんだ

そう告げた彼女の瞳は揺らぐことなく俺を真っ直ぐ見ていた

「 君は 一体 」

「 私は ―― 。」

彼女の声は聞こえるのに 名前だけノイズが入って聞こえない

「 ふふ、 私の名前は誰にも聞こえないの 」


嗤う彼女の長い髪がふわりと揺れる

その時 はっと気づいた
彼女の体が透けて見えていることに

先程までそんなことはなかったのに


「 君は 」


「 さようなら 夏目くん 」

すうっと 彼女の体が消えていった


「 夏目? 其処で何をしてるんだ 」


「 先生 …いや 何でもないよ 」


「 そうか ん? 」


「 先生? 」

「 木蓮か 」

辺りには木蓮の香りが立ち込めていた

「 確か此処には木蓮の精が居たな 」



そうか 彼女は木蓮の精だったのか









木蓮の精と夏目のはなし
- 41 -




「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -