ルキ [14/21]
上の続きみたいなもの




「何をしている、家畜」

「あ、ルキくん」



家畜が遅いと思っていたら彼女はどうやらクラスメイトと話をしていたようだった。

「ごめんなさい、ユイちゃんを引き留めたのはわたしなんです」

「雪路ちゃん、私も悪いんだから気にしないで」

「雪路だと?」

「え、あ……わたしの名前は雪路ですけど、どうかしましたか?」

「ルキくん?」

「家畜、お前はコウ達の元にさっさと行け。逆巻の連中には見つかるなよ、見つかれば仕置きだ」

「そんな…!?」

「分かったら返事をしろと言わなかったか?」

「う……、はい」

家畜はしぶしぶといった表情をして教室を出た。

「あの、わたしも帰らないと……」

そう言って後ずさる彼女の肩を掴むと、逃げられないように壁に押し付けた。

「!?」

「何故お前がここにいる」

お前はあの時に撃たれて冷たくなったはずだろう?

「え? わたし、ここに通ってるから」

「違う、俺が言っているのは」

どうしてお前が生きている。

「何を言ってるんですか、無神さん」

「……そうか、お前は」

長い年月を経て、彼女は多分生まれ変わったのだろう。記憶がないのは当たり前だ。

それならば合点がいく。

「……わたし、あなたを知っています」

「それは俺たちが転校してきたからだろう」

「昔のことみたいなんですけど、よく分からなくて……夢を、見たんです」

わたしの手を引いて走る男の子の背中だけ。わたしとその子は何かから逃げていて、だけどその子と手を繋いでると切なくなって。


「それでも、わたしはその子と生きたいと思っていたんです」


「そう、か。……だが、逃げられず、……生きることもできなかった」




「無神さんはわたしが死んでどう思いました?」


「もう二度とお前に会えないのだと思ったな。冷たくなっていくお前に俺は何もできなかった」

「ううん、ルキは側にいてくれたよ。優しくて、死にたくないって思えてきて、わたし、また会いたいと思ったんだよ」


両の手を俺の頬に添えて見上げた彼女はあの時に見せたのと同じように微笑んだ。

「だから、わたしはここにいるんだよ」


「雪路っ」

いとおしくて、儚くて、俺が守れなかった貴女が今、目の前でまた俺に微笑みかけた。それがたまらなく嬉しくて。俺は彼女を抱きしめた。

「ルキ、くるしいよ」

「ああ」

「いっぱい待たせてごめんね」

「もう二度と会えないと思った」

「わたし、またルキと一緒に居てもいい?」

「当たり前だ」

「ルキは優しいよ。優しいから、……好き」



貴女がまた俺と生きてくれるなら。俺は何としてでも貴女を守りぬくと誓うから。








@@補足@@
分かりにくいので一応。
・夢主は最初、前世の記憶がありませんでした。
・しかし、夢で見た過去でうっすらとだけ思い出しました。
・そしてルキと話していくうちに記憶を全て思い出した流れです。


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