スバル [11/21]
ねぇ、スバル。
「なんだよ」
私ね、スバルが大好き。
「いきなり、んなこと言ってんじゃねぇよバーカ」
ふふ、スバルは照れ屋さんだもんね。私が告白した時も、私に返事をくれた時も顔を真っ赤にしてたもん。
「うぜぇ、いい加減忘れろよ」
やだな、スバルのことを忘れるのは。スバルと過ごした時間を消すことなんて出来ない。
「……なぁ、お前は」
言わないで、本当の言葉を。
「だけど」
分かってるよ、スバルの言いたいこと。だって、ずっと側にいたもん。スバルが私に言いたいこと。
『さよなら』したいんだよね。
「……っ」
そうだよね、スバルはもう前に進まなくちゃいけないもんね。こんな、触れなくて、空気みたいで、幽霊みたいな私なんかじゃスバルは、
「違う」
ずっと知ってたよ。私じゃスバルを幸せにできないし、一生スバルと生きられないことくらい。これは私の我が儘だよ。
「違うっ!! お前は俺のせいで」
スバルは悪くないんだよ。私がいけなかったの。だから自分を責めないでよ。
「雪路」
そうだね、もうさよならしよう。スバルが幸せになってくれるなら、私はこのまま消えるよ。
貴方は、私の大好きで、たった一人の愛しい人。
「雪路、……愛してる」
消えてしまう前に貴方が私にそう言ったの。ああ私、スバルに愛されてた。
『さよなら』
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