アヤト [8/21]
*侍口調夢主
「アヤト殿」
「んだよ」
「そろそろ離してくれると有難いのでござるが」
「……」
雪路は今、アヤトに後ろから抱きつかれていた。
シュウと会話をして別れた後にアヤトに出会った雪路はそのまま空き教室に連れて行かれ、行儀悪く机に座るアヤトの膝に乗せられていたのだ。
「単位が足りなくなっても知らないでござるよ?」
授業開始のチャイムは数分前に鳴り終わっていた。
「うっせ」
アヤトはそう言うと後ろから雪路の首筋に顔を埋めた。
「ちょ!! くすぐったいでござる」
素肌をくすぐるアヤトの髪に雪路は体をくねらせる。
「…な、よ」
「?」
「お前、シュウに抱きつかれてんなよ」
ボソッとアヤトは言った。
「……アヤト殿、見ていたのでござるか。でも、あれは拙者の不徳と致す所で」
「意味分かんねぇ。お前はシュウのじゃなくて……」
「じゃなくて?」
「……俺様の」
「アヤト殿?」
「おっ、俺様のモンだっ!!///」
顔を紅くしたアヤトだが、幸い雪路には見えなかった。
「そうでござるな」
「!?」
「拙者はアヤト殿の友達でござった」
「あ、ああ……」
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