猫だらけの塀をげんなりと見ながら歩いていく凶王、三毛猫を膝に載せ神輿でふよふよと浮いている大谷。
屋敷に近づくにつれてどんどん猫の数が増えていく。どんな愛猫家でも、この多さをみれば裸足で逃げ出すだろう。
先頭を行く白猫は素知らぬ顔で尻尾をゆらし歩いていく。 暫くして、屋敷の門の側まで来ると白猫は一鳴きする。
まるで 「 此処だ 」と言っているようだった。
「 さて、三成よ 」
屋敷の門の前に立ったと同時に刑部は三成に言う。
「 なんだ 」
「 覚悟は良いな 」
「 はっ 何を覚悟しろと言うのだ 」
「 此処に来るまで見たであろう? 」
あの猫の数を
「 だからどうした 」
「 この門の中――、屋敷の中は外よりも酷い故 」
ヒヒッ と何時ものように嗤う刑部に今日ばかりは、ゴクリと息を呑んだ 此処に来るまでに見た猫の数よりも更に居ると言うのか 三成は身構えた。
刑部は神輿に乗りふよふよと浮きながら屋敷の門を開いた。と同時にぎにゃぁー!!
雉猫が三成に飛びかかってきた。
2014.06.15加筆修正
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