ゆっくりと体を起こした三成は纏を見て口を開いた。
「貴様は何故、性別を偽っていた」
『偽っていたんじゃないのだけれど』
「まさか秀吉様や半兵衛様を謀っていたのかっ!?」
『太閤殿や軍師殿は知っているよ。知っていて私を引き入れて下さった』
「嘘をつくなっ!!」
『嘘はついていない。私が一等嫌いなのは嘘だよ。つくのもつかれるのも大嫌いだ』
「……左近、貴様は知っていたのか」
目線を左近に向けた三成。それに肩を揺らして左近は答えた。顔には汗が滲んでいる。
「あ、……まぁ幼馴染みみたいなもんで。こいつのことは昔から知ってるんスよ」
『聞かれなかったから、言わなかったんだ。すまない、混乱させたようで』
「チッ、……信じられるか。秀吉様や半兵衛様は騙されているのだ、それに刑部もだ」
疑いの目を向けるばかりの三成に、纏はこう言った。
『では、茶会の時にその証拠をご覧にいれてみせようか』
あれほど嫌がっていた纏の変わりように左近は目を見開き、三成はぽかんとした表情をしたのだった。
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