纏は炊事場から水を入れた湯飲みと濡れた布巾を持って三成を運んだ部屋へと急いだ。

『左近、持ってきたよ』

「おう、ありがとな」

部屋について、三成の側で待っていた左近に湯飲みと濡れ布巾を渡すと、纏は左近の近くに座った。


「しっかし三成様があんなことになるなんて」

『それほど衝撃が強かったんだろう』

「何が?」

『私が ゛女 だったということが』

女という単語を強調して纏は口に出す。

「あぁ……。まぁ、な」

三成は多分勘違いしていたのだ、あの初対面の時から。中性的な顔立ちに男の服装なら尚更だ。それに加えて纏の声は女にしては少し低い。間違えるのも無理はない。


『なんだか少し罪悪感が芽生えてしまったみたいだ』

「いや、大丈夫だろ」

三成の額に濡れ布巾を丁寧に置くと左近は苦笑いをした。


『治部殿はいつもこうなのか?』

「全く違うな」

『そうか』

そんな会話をしていると畳に横たわっていた三成の手がピクリと動いた。

「こ…、こは」

「三成様っ!? 大丈夫スか?」

目を開き三成が意識を取り戻したのを見た左近が心配そうに聞いた。





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