「 おい、聞いたか? 」
「 なんだ? 」
「 猫屋敷だよ 」
「 あぁ、 あの猫武将の屋敷か。それがどうしたんだ 」
仕事中だと言うのに何を話しているのだ 。
職務怠慢も良い所だ。
この素晴らしい秀吉様の大坂城を警護する役職を無駄話をしながらするだと?
即刻にあの兵たちを斬滅する許可を秀吉様に、
「 やれ 三成よ 如何した? 」
「 む、 ……刑部か 」
やって来たのは大谷吉継。 私は刑部と呼んでいる。
「 無駄話をしている彼処の者共の斬滅を秀吉様に許可して頂こうと考えていた所だ 」
「 ヒヒッ、左様か。しかし三成よ、あの兵達の警護の代わりを如何する? 」
「 それはっ…… 」
失念していた。
「 無駄話なぞ させて置けば良いのよ 」
チリンチリン
「 何奴!? 」
突然聞こえた鈴の音に刀を身構える。
「 ちと待ちやれ 」
刑部の静止の声に渋々従うと出てきたのは白猫だった。
首輪をしており鈴が付いていた。さっきの音はこれだろう。
刑部はその白猫に近づいた。
「 何をしている 」
「 はて、何処かで見たな 」
そう言って何か考える刑部に白猫はニャアと一鳴きしている。
「 おぉ そうか……主は 」
何かが分かったのか刑部が口に出すと白猫もまた一鳴きした。
「 刑部? 」
「 三成よ、我は今からこの猫の飼い主に用事があるのでな 」
「 待て、 私も行く 」
刑部が言うこの猫の飼い主とやらに何故か知らないが興味が沸いた。
2014.06.15加筆修正
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