紀丞が飛び付いた人物とは、
「 一体何なのだっ この仕打ちはァァァッ!!! 」
「 三成様!?」
左近の、言ってみれば上司である石田三成であった。
『 紀丞 』
纏が名を呼ぶと紀丞は三成の顔から離れた。
「 秀吉様、……斬滅する許可をォォォ 」
『 すまない治部殿 』
纏が三成に近づこうとした時、三成は刀に手を置いた。
「 纏 危ないっ!? 」
ガキィンッ!! と刀の音がした。
「 ッ!? 」
『 ったく…… 危ないな 治部殿は血の気が多い 』
三成の刀は纏の持っていた鉄扇により受け止められた。
左近はひとまず安心した様子であったが、三成は纏の小さな鉄扇で自分の剣撃が受け止められたことに驚いていた。
「 三成様、とにかく刀は納めて下さい 」
「 …… 」
カチャン と刀が鞘に収まったので纏も服の袖に鉄扇を直す。
『 黒猫が仕事中で良かった ……それでなきゃ半殺しだった』
纏の言い様は二人をぞっとさせるような冷たさを含んでいた。
「 それで ……三成様は何で此処に来たんですか? 」
「 半兵衛様に頼まれたのだ 」
そうでなければこの様な所に来るはず等ない、と三成は続ける。
『 はは……、そんな気はしてたよ 』
厄介事で無い事を祈りながら纏は三成が取り出した文を受け取った。
2014.06.15加筆修正
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