「 お前さ ……一度猫と暮らすの止めてみたら? 」
『 左近 それは私に死ねと云っているのと同義だぞ 』
「 そこまでかよ 」
『 私の生活に猫がいるのは必定だ 』
第一私はこれでも独り身で寂しいからな。 猫といると心が安らぐんだ。
纏はそう言って膝に座っていた白猫の白戀(ハクレン)を優しく撫でた。
こうして猫と居る纏を見ると幾分か年頃の娘なのだという事を実感する。 本当に綺麗に笑むのだ 纏は。
「 寂しいなら どこぞの家にでも嫁げばいいだろ 」
『 猫屋敷の猫武将をもらい受けたい家なぞ無いに等しいがな 』
嫁ぐのは性に合わない。
それに私は人が嫌いだ。
外面だけで人間性を判断して内面を全く理解しない人は大嫌いだ。
「 変わるかもしんねーだろ 」
『 何が? 』
「 纏のその性格 」
『 …… 』
暫しの沈黙
左近は足元でじゃれていた虎ノ覇(コノハ)から目を放して纏の方を見る。
「 まっ お前が良いならそれで良いんだけどな 」
『 ……軍師殿と同じ事を言う 』
これじゃあこいつに待ち人なんて来る日は遠いな、なんて思いながらまた茶を啜るのだった。
2014.06.15加筆修正
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