纏は刑部の案内の下、大坂城にやって来た。
そして廊下で豊臣の軍師である竹中に出会った。
「 やぁ、待っていたよ纏くん 」
『 お久しぶりです軍師殿 』
「 そうだね 吉継くんも案内ご苦労 」
「 ヒヒッ 纏は案内せぬと迷う故 」
『 酷いな 刑部殿は 私は迷子になったりなんてしないよ 』
纏は至極真面目に答えるが竹中はこう言う。
「 僕は心配だよ 」
『 軍師殿まで…… 』
心配性なのかは分からないけれど そこまで心配しなくても、と纏は思った。
「 では 我は戻る故 失礼する 」
『 有難う 刑部殿 』
刑部はふよふよと去っていった。
案内役が竹中に代わり纏はそれを後ろからついて行く。
「 纏くん 」
『 はい 』
「 藤吉は元気かい? 」
『 えぇ、それはもう 屋敷の食費が嵩むくらいに 』
「 ふふっ、そうか 」
藤吉は大飯食いである。息災な事を聞いて竹中は微笑む。綺麗だと纏はいつも思う。
「 最近は屋敷に向かえなくてすまないね 」
『 いえ、軍師殿は御忙しい方なんですから 仕方ありませんし 』
なんだったら文でも書いて、猫(藤吉)の近況をお知らせ致しますけど。
「 それは良いね。でも、たまには見に行きたいよ 」
『 そうですか 』
然う斯うするうちに太閤である豊臣秀吉の待つ部屋にたどり着いた。
2014.06.15加筆修正
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