「 ヒヒッ まぁ良かろ 」
『 宜しく頼むよ 』
纏は刑部の答にそう返した。
『 何か有れば馳せ参じるのが臣下の勤めだろうしね 』
手を二回ほど叩き続けて纏はこう言う。
『 今日は此処で御開きにしよう 明日は登城しないといけないからね 』
「 では我らもおいとまするとしよう 」
飲んでいた湯飲みを置き刑部は神輿を浮かせた。
そして先程まで固まっていた三成にその旨を伝えると三成も訝しげながら立ち上がった。 左近はまだ残ると言ったが纏はそれを許さなかったために二人と帰る羽目になったのだった。
屋敷の門まで纏は三人を見送って控え目に手を振った。
三人の姿が見えなくなると纏は影に呟く。
『 さぁて ……準備をしなくては。 黒、良いかい? 』
「 ……御意に 」
黒と呼ばれた影は自身の主にそう応えた。
2014.06.15加筆修正
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