暫く談笑をしながら過ごしていると何やら騒がしい足音が聞こえてきた。

『 …はぁ もう少し静かに行動できないものかな 』

纏はそう言って立ち上がり襖を開けた すると。


「 橘!! 文を預かったんだ 」


現れたのは島左近 三成の部下であった。

『 左近 お前は何度言っても分からぬようだな…… 』

うんざりとした様子で答える纏に左近は。

「 悪い悪い、急いでたんだ 」

少しも悪びれる様子の無い左近に纏はため息を吐いた。

「 って、えぇっ!? 三成様に刑部様まで 居るなんて 」

『 気付くのが遅いな 』

「 何故、左近が此処に居る 」

三成は左近に言った。

「 や、 文を渡すように頼まれたんですよ 竹中様に 」


左近は三成に説明した。
話の内容はこうだった。


元々は刑部に文を預ける手筈だった所、城内に姿が見えなかったために三成を探していた左近に豊臣の軍師である竹中半兵衛は橘の、この猫屋敷に届けて欲しいと頼んだのだった。 幸い左近は纏とは知り合いであったため、猫達には警戒されずに此処まで来たようだ。 その証拠は、猫の引っ掻き傷が無い事だろう。




『 軍師殿から文、か 』

纏は左近から受け取った文を少し眺めてから広げた。



「 何故、半兵衛様がこの様な所に文を 」

「 軍師殿は我と同じく此処にお気に入りが居るのよ 」

「 ……は? 」


初耳だったのだろう、 三成は暫く固まった。
その三成を左近は慌てて介抱する
そんな三成を放置して刑部は話を始める。

「 軍師殿は何と? 」





『 刑部殿 ……明朝は何か用事は? 』

「 無いが 」

『 では 案内を頼んでも良いかな 』




『 太閤殿のお呼びが掛かった 』



至極冷静な声になった纏はそう刑部に言ったのだった。











2014.06.15加筆修正



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