振り向いた人物は
とーるだ 間違いない あれはとーるだった。
「 ゆっちゃんに 夏目くん…? 」
私は久しぶりにとーるの声を聞いた気がした。
「 ―おれを 知ってるのか? 」
とーるが言った言葉に対して夏目くんはそう答えた。
「 しまった 私… 私 今 あなたの名前を呼んだ? 」
口元を押さえて 何かいけないことを言ったかのような反応をしたとーる。
「 え? ああ… 大丈夫か? 」
夏目くんはそんなとーるの様子に心配している。
「 …そう… どうしよう… しまった… 」
そうしてとーるは両手で顔を隠した。
「 とーる? 」
「 …おい? 」
「 ――… ごめん、 ごめんね夏目くん 」
それにゆっちゃんも と、
とーるは言う。
そして何かを決意したようにこう言ったのだ。
「 私、 必ず勝つわ、 必ず勝たなくちゃ 」
だっ
とーるは駆け出していく。 「 あっ おい… 」
「 っ!? とーる 待って!! 」
私はとーるを追いかけた。
とーるが何を思っているのか 何に対して勝たないといけないのか。
今 とーるに何が起こっているのかが知りたかったから。