暫くして ニャンコは私の膝から降りた。 またトンボを捕まえに行くと言い草むらに消えた。
ガサガサと音が聞こえてくる。
「 先生ー ニャンコ先生ー 」
夏目くんの声だ。
ニャンコをさがしに来たのだろう。
「 夏目くん? 」
「 虹榮 …やぁ 帰り道か? 」
「 …そんなとこ 」
「 そうか 」
「 夏目くんはあのニャンコを探しに来たの? 」
「 あぁ …まったく いつまで 散歩しているつもりだ 」
散歩してたのかあのニャンコ。
「 どこだー 」
夏目くんはニャンコを呼ぶ。
「 夏目か。 ここだ ここ 」
ニャンコに声が届いたようだ。
居場所を言っているが どこに居るのかが分からない。
「 分かんないよ… 」
「 帰るぞ 先生 」
そうは言うものの 夏目くんは はぁー と息を吐いて ごろんと私の座っている草むらの近くに寝転んだ。
ザァァァ… という風の音の中ヒソヒソと小さな声がするのが聞こえた。
夏目くんも気づいたみたいだ。
ヒソヒソ
「 おい これは何だ 変なものがある 何かの文字か? 」
ヒソヒソ
「 何かの呪いか?
早くここを離れた方がいいかもしれん 」
ガサ ガサ
そうして夏目くんの頭の上付近に現れたのは着物を着た小さな妖達だ。
「 変なものって? 」
夏目くんがそう聞いた。
「「 ぎゃあ 人の子 」」
そしてザッと起き上がった。
「 ここを離れた方が いいって …何かあるのか? 」
「 ひいぃぃぃー 」
ぴゅーっと逃げていく小さな妖達は正に脱兎の如くだ。
「 あっ にげた… 」
「 にげちゃったね 」
私と夏目くんは ガサガサとさっきの妖達がいっていたものを草をわけて探した。