帰り道を変えてみた。
いつもとは違う景色が新鮮だ。
歩いていくと空き地があった。
草だらけで何が潜んでいるのかがほとんど分からない。
私は 足を踏み入れるかどうかを悩んでいた。
すると、
ガサッ
「 トンボ 一匹目〜♪ 」
あのニャンコが飛び出してきた。
「 びっくりした… 」
「 ん? お前は…夢萠か 」
流暢に喋るニャンコなんていつ見てもびっくりする。
しかも私の名前を覚えてくれていた。
「 こんにちは 」
「 3日ぶりだな… 」
「 えぇ そうですね 」
そう、私は 3日前にこのニャンコに会っている。
その時はたしか私が持っていた調理実習で作ったクッキーをあげた。
一緒にいた夏目くんは
とても申し訳なさそうな顔をして私に謝った。
大丈夫 謝るべきはニャンコだと思うよ夏目くん と心の中で思った。
「 ほれ 」
ニャンコは前足を上げて何かをせがんでいるようだ。
「 何ですか 」
まさかとは思うけど
「この前のクッキーは旨かったからな 」
そのまさかだった。
「 今日は 貰い物のお饅頭しか… 」
「 何!? 饅頭だと!? 」
食らいつきかたが半端じゃない。
「 何処のだ 」
「 えぇと 七辻屋の 」
「 くれっ!! 」
速答… まぁ あんまりお饅頭とか好きじゃないから良いか。
「 はい 」
クッキーの時も思ったが、ニャンコが食べられるものだろうかという疑問が浮かんだ。
くれと言うのだから、多分食べれるのかもしれない。
そう思ってお饅頭を渡した。
立っているのも疲れたので
私は草だらけの地面に座った。 ニャンコは何故か私の膝に乗っている。
「 しかし 七辻屋の饅頭は旨い 」
喜んでもらえたようだ。