ドキドキ!!アイドル★暴露大会



『ドキドキ!!アイドル★暴露大会』

「さあ始まりました!! 今回のゲストには初登場、今人気で話題になっているアイドル、シュウさんの他、同じ所属のコウくんです。そして毎度お馴染みのこのメンバーでお送りします。司会は私、カールです。今日も盛大にカールした髪形でごめんなさい。寝癖です」

司会の話しにドッと笑いが溢れた会場には他事務所のアイドルや芸能人が雛壇に座っていた。シュウとコウは端の列に座るように言われていた為に雛壇の二段目の端に座っていた。
今日はバラエティー生番組『アイドルの夜』の収録である。そして今回はアイドルの素顔に密着したトーク。『ドキドキ!!アイドル★暴露大会』というテーマの元に収録をしていた。

「シュウくん、寝ないでよ?」

「……」

隣にいるシュウに小さくコウがそう注意した。シュウのマネージャーである彼女に言われていたからである。番組中に寝る恐れがあるからと、かなり念押しだった彼女の様子を見てまさかと疑うものの、隣のシュウを目の当たりにしたコウは信じるざるをえなかった。今にも眠ってしまいそうなシュウが隣にいたからだ。

「俺、あの子にも言われてるから。絶対に寝ないでね?」

「……ああ」

彼女のことを話しに出すとシュウはやっと返事をした。「今回は、『ドキドキ!!アイドル★暴露大会』ということで、視聴者の皆さんから寄せられた鋭〜い質問を、ゲストさんに答えていただきます。もちろん、答えられない質問については回答拒否をしても結構です。しかし、答えられない場合はこちらの特製青汁を飲んでいただきま〜す。いつものメンバーはもちろん、視聴者や会場の皆さんはこの青汁のことをよ〜くお分かりになっていることでしょう。さあ、それでは質問に参りましょう!!」

コウは特製青汁のことよりも隣のシュウが寝てしまうことの方が心配だった。

「ではまず、こちら!! P.N参謀さんより初登場のシュウさんに質問だそうです」
P.Nが気になったが、シュウに最初の質問が来たことにコウはひとまず安心した。
質問に答えれば眠る心配はないはず、そう思って隣を見ればシュウは船をこいでいた。

「シュウくん」

肘でシュウの腕を小突き、起こす。もちろん顔は前を向いた状態でだ。アイドルスマイルも欠かさないコウは正にアイドルの鏡と言えよう。

そして司会がシュウへの質問を読み上げる。

「はい、えー『シュウさんに質問です。弟、又は妹がいますか? いる場合はその兄弟についてどう思っているかも知りたいです』だそうです。ではシュウさんにお答えいただきましょうか」

司会が近づきシュウにマイクを差し出した。
なかなか受け取らないシュウを見て、コウが代わりにマイクを受け取った。

「ほら、シュウくん。妹がいるんじゃ無かった?」

シュウが話をしやすいようにコウは話を振った。他の弟はともかく、彼女のことならきっとシュウは話すだろうと思ったからだ。

「……妹がいる。どう思ってるか? ……そうだな、優しくて頼りになって、あと笑うと可愛い。この間、腕時計をやったらすごく喜んでた」

急に優しい顔をして話すシュウに、コウは驚く。やはり彼はシスコンのようだ。マイクを司会に返したコウはそう思った。

「シュウさんには可愛い妹さんがいるんですね〜。お答えいただいたので青汁はナシで〜す。では、次に参りましょう」

司会は雛壇を降りて次の質問に入った。そしていくつかの質問を受け答えするアイドルや芸能人たち。何人かが、青汁の被害にあっていた。そしてコウにも質問が来ていた。もちろんきちんと答え、青汁は回避した。
その時はシュウが起きているのを確認できた。しかし、番組が進んでいくうちにシュウが目を瞑っていたことにコウは気づかなかった。
そして司会がまたシュウへの質問をした時にコウはハッと横を見た。寝ている。その事実に慌ててなんども肘でシュウを小突いた。

「シュウくん、起きて!!」

小さな声で周りに聞こえないように言うが、シュウは起きる気配がない。このぶんではもう会場の皆にシュウが寝ていることがバレているかもしれない。

「最後の質問になりました。P.N小さな森の天使さんより『好きな人はいますか?』だそうです」

コウはもう駄目だと諦めに入った。しかし、司会がやってくる前にシュウが口を開いたのだ。

「スバル」

会場内に聞こえるように、妹である彼女の名前を言ったシュウの顔は、嬉しそうに微笑んでいた。

収録後、コウはシュウがその時に寝言を言っていたことを知るのだった。




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