「おい、チチナシっ!!」
「アヤトくん?」
「テメェ、こんなとこに……!?」
「久しぶり、アヤト」
「なっ!? ユキト?」
チチナシを探していた俺様はテラスにチチナシと一緒にいた人物を見て驚いた。
四つ子で俺様の双子の弟のユキトがそこにいたからだ。
「はは、……俺のこと忘れた?」
「なわけねーだろ!! 俺様がユキトを忘れるなんてこと」
こっちの高校に通わず、ユキトは一人だけ英国の嶺帝学院の本校に通っていたせいで、昔のように一緒にいられなかった。それでも時々、連絡はとっていた。でもここ最近こなくなって気にしてた。
「お前から連絡こねぇと思ったら、こう言うことかよ」
「驚かせてやろうと思って、さ。」
「んで? チチナシの血は飲んだのかよ」
「ちょっと!? アヤトくん、私のことそんな風に呼ばないで」
「あ? いつから俺様に口答えできるようになったんだよ、チチナシ」
チチナシといたってことは吸血したのかもしれねぇ。
「いいや、飲んでない。それと、いくら小森さんが貧相だからってその言い方はないよ」
ああ、この感じだ。ユキトはずっと変わらない。あの時のままだ。
「そろそろ、気づかれる前にライトとカナトを驚かせてくる」
そう言ってテラスから離れて部屋の中にユキトは消えていった。
「……あの、アヤトくん」
「おい、チチナシ」
「え?」
「お前、ユキトに近づくなよ」
――あいつは女が嫌いだから。
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