神父を務めている父が、東欧に出張しているあいだ、逆巻家のお世話になることになった私。逆巻家の六人の兄弟。実はヴァンパイアで、私はそこに『花嫁』として連れてこられたらしい。
ヴァンパイアである彼らは夜型であるために私もその生活に慣れて数日がたった。吸血にはまだ慣れない……というか、慣れたらいけない気がする。
そんなある日の夜。私はテラスに誰かが立っているのを見かけた。
月光に照らされて光る髪の毛が綺麗で、私は感嘆の声をもらしてしまった。
「……綺麗」
「誰?」
月を見上げていた人物は私の声に反応してこちらを見た。緑色の瞳はどこかアヤトくんとライトくんに似ていた。そして何より、アヤトくんとそっくりの容姿をしていたのだ。ただ違うのは髪の色、アヤトくんは赤い髪だけど、その人は髪が真っ白だった。
「あの、私。ここでお世話になって」
「小森ユイ……さん。だっけ?」
「え?」
「一応、話は聞いてた。それに、…………何でもない」
一体何を言おうとしたんだろう。それに、どうしてアヤトくんに似ているんだろう。もしかしてこの人は、
「俺は逆巻ユキト。小森さんが思ってるように俺はアヤトと双子」
そして逆巻家の四つ子の次男。
私は逆巻家が七人兄弟だったという事実をその時に知るのだった。
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