The bat which tells a visit
・コーデリア成り代わりで月浪家。
※ショタ設定にしてあります。
※もしも月浪家と親交があったらみたいな感じです。
※キャラ崩壊注意。
とある屋敷の玄関先。
ユリアは今、二人の幼い兄弟を前にして困り果てていた。
目の前の二人……、カルラとシンはユリアを不思議そうに見上げている。
何故こうなったかと言うと、彼女が二人の母親に会いに来た時にその母親が不在であったからである。来訪を知らせる手紙をくくりつけたコウモリは飛ばしてあったはずなのに、とユリアは焦る。
「ええと、クローネ。……あなた達のお母様はどちらですか?」
カルラとシンの目線に合わせて腰を落としながらユリアがそう聞く。
二人と会うのは初めてではないのにこうも緊張しているのは、彼らの親がいるときにしか会っていなかったことも起因しているのだが、それ以前に彼女は二人と会話をすることが無かったからだろう。カルラとシンにしても、ユリアと話すことは無いに等しかった。
「……」
無言のまま時が過ぎる。
長すぎるマフラーを巻いたカルラは口許をそれで隠しており、あまり表情が見えない。対するシンはカルラの背に隠れている。少しだけ怯えているような、そんな顔をしている。頭一つ分の身長差が分かる。
ユリアは困った顔になってしまった。
困りました……。と内心思いユリアは次の言葉を探す。
「コウモリが来ませんでしたか?」
「……来たよ」
カルラの後ろに隠れたシンが答える。
「でも、コウモリだけ」
シンの言葉でユリアは察する。
「手紙を途中で落としたのですね」
苦笑いにしかならない。
「ごめんなさいね。また今度来ます」
二人に謝るとユリアは体勢を戻した。そして背を向けて帰ろうとした時だった。 ユリアのスカートの裾が、くんっ、と引っ張られたのは。
「?」
そちらに目を向けると、カルラがスカートの裾を握っているのが見えた。
「どうかしました?」
ユリアが聞くと、数秒の間を開けてカルラがやっと口を開いた。
「……多分、もうすぐ帰ってくる」
それは、待っていろということだろうか、とユリアは思う。
「リビングに居れば……、良いと、思う」
ぽつぽつと話すカルラにユリアは目をぱちぱちさせて驚いた。しかし、
「では、案内をお願いできますか?」
ユリアは微笑んで二人に向かって言ったのだった。
「ユリアさんは色んなこと知ってるんだね!」
クローネを待っている間、リビングのソファーに座って会話をすること数分。先程玄関でカルラの後ろで不安そうにしていた様子と打って代わり今は楽しそうな顔になっているシン。
「シン……、はしゃぎすぎだ。それにユリアさんの膝の上だぞ」
そう、シンはユリアの膝の上に座っていたのだ。カルラはその隣に座っていた。
「大丈夫ですよ、カルラさん。慣れています」
にこりと微笑みながらシンの頭を撫でる。くすぐったそうにシンが目を細めている。
「シンさんくらいの子が三人もいますから」
ユリアは屋敷で留守番をしているであろう三つ子のことを思い浮かべた。
「ね、その三人ってどんなの?」
シンは顔を上に向けてユリアに言う。その顔は好奇心に満ちていた。
「そうですね。一番上の子はやんちゃで、二番目の子はおとなしくて、一番下の子は優しいですよ」
「会ってみたいっ!! ねっ、兄さん」
シンはカルラの方を向いた。
「そう、だな」
「ふふ、機会があれば会わせてあげたいです」
ユリアはカルラの頭を撫でてそう言う。優しさで満ちた笑顔にカルラは戸惑いながらも目を閉じ、されるがまま。
クローネが帰ってくる頃には、二人はユリアの膝を枕に眠ってしまっていたのだった。
@@後書き@@
・カルラのキャラが違いすぎる……。
・というかショタ設定にしてしまった。
prev mokuji next