Something by which you're I
・アヤトがルキの妹(夢主)に一目惚れして誘拐する。




「無神ユリアです。よろしくお願いします」

そういって黒板の前に立って自己紹介する女を見て、一目で気に入った。あのムカツク無神のとこの妹であることを忘れるくらい、俺様はそいつに夢中になった。


それが3日前。



「離してっ!!」

「うっせぇな」

他の四人は3年のくせにこいつだけ一つ下の学年にしたのは多分チチナシに近づけさせる為なのだろうが、その策は俺様にとってありがたい行為になった。他のやつらが居ないのなら、こいつを手に入れる機会はたっぷりあるからだ。そして今日、俺はこいつを拐うことにした。
相手は(紛い物の)ヴァンパイア、そして俺様もヴァンパイア。だけど所詮は女と男。力で叶う訳もない。掴んだ手首をきつく握れば、顔が痛みで歪む。離せと言われて離すやつなんかいねぇだろ、なんて考えながら俺はこいつを捕まえた喜びで口角が上がる。やっと近づいた。

「兄さまたちが居ないときに限って何の用ですかっ!? 私は君に用はありません。用があるのは小森ユイです」

あの無神の長男と同じ、黒に白っぽいグラデーションがかった髪を腰元まで伸ばした女は、これまた同じようなブルーグレーの瞳で俺様を睨んできた。

「俺様が一目惚れしてやったんだ、ありがたく思えよ」

「意味が分かりませんっ、頭大丈夫ですか君」

「君じゃねぇ、アヤトだ」

名前を呼びやがらねぇのにムカついたから俺様はそう言った。つーか俺様はいつだって頭は正常だっつーの。

「嫌です。大体、私の名前すら」

「ユリア。おら、これで良いだろ」

ユリアの言葉を遮って俺様が言えば、こいつは嫌がるような顔になった。

「いい加減離して下さいっ!! 小森ユイがいないのなら意味がありません」

「チチナシが居れば良いんだな」

「は?」

「だから、お前はチチナシが居ればそれで良いんだろって言ってんだ」

「それは……、そうですけど」

「なら決まりだ。お前は俺様のもんだ」

「だから意味がっ!? 離してって言ってるでしょう!!」

「ばーか、誰が離すかよ。言ったろ、俺様が一目惚れしたんだからありがたく思えって」

むざむざ目の前で逃がすなんてことを俺様がするわけねぇだろ。手に入らないなら奪えば良いだけだ。
逃げられないように横抱きにしたユリアを見て、俺様は言う。

「逃がさねぇ。お前はずっと俺様のモノだ。なぁ、ユリア」













@@後書き@@
・似非アヤトでごめんなさいm(__)m
・夢主も若干カナトみたいになってしまった……。



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