At the place where I'm not here for that.
・恋人設定のカルラと夢主+苦労人シンの日常生活。無自覚いちゃラブな2人と苦労人シン。
・モブ視点。
甘い雰囲気を漂わせる二人を見て、今日も胸焼けがしてしまいそうだというような顔をする人物が一人。
カルラの弟であるシンだ。
リビングで仲良く会話をしている訳でもないのに、カルラとカルラの恋人であるユリアの周りの空気は甘ったるい匂いがする。もちろん二人は気づいてなどいない。それはシンが二人を見た時だけに感じることだからだった。
「……(兄さんは無表情なのにな)」
シンの思うように、カルラは隣にユリアが座っているのにも関わらず、顔はいつもの無表情。対するユリアはカルラと目が合う度に、ニッコリと微笑んでいる。
「カルラ」
ユリアはカルラの名前を口にした。
「なんだ」
それを、ぶっきらぼうに答えるカルラ。
「何でもないです。……ただ、呼んでみただけ」
まるでいたずらっ子のような笑顔だと、シンは思った。
しかしこの会話、シンにとっては何度目か分からないが毎日と言って良いほど耳にすることのあるものだ。そして、
「ユリア」
「何ですか?」
「他意はない。呼んでみただけだ」
「ふふっ、そうですか」
この会話もである。
そして怖いのが、この会話を二人が無自覚でしているということなのだ。
最初の頃は初々しいと思っていたものの、最近ではシンは苦笑いを顔に浮かべてその会話を聞いている状態。
「……(駄目だ、胸焼けしてきた)」
二人がこうしている間、シンは口を閉ざす。自分が何かを言ったところで二人が聞くわけでもないし、寧ろ邪魔してしまうとカルラから無言の圧力をかけられてしまうからだ。
「(それにしても、兄さんは何でニコリともしないんだろう)」
自分が好いている恋人に向ける顔が無表情というのはさすがのシンでもあり得ないのでは、と感じた。
「……あの、さ」
躊躇いがちに、シンは二人に話しかける。甘い雰囲気をぶち壊すことになるが、これまでずっと疑問に思ってきたことをシンは聞いてみることにしたのだ。
「シン? どうしたの?」
カルラに向けていた視線をシンに向けてユリアが反応した。
「……(兄さん怖い) 少し聞きたいんだけど、ユリアはどうして兄さんが好きになったの?」
無言の圧力に耐えながらシンは言った。
「どうしてか……、ん……どうしてでしょうか」
首を横に傾けて考えるそぶりをしたユリア。そして隣にいるカルラをチラッと見てから口を開いた。
「……多分、理由なんてなかったのかもしれません。私はカルラに惹かれ、同じようにカルラは私に惹かれた。それでは答えにはなりませんか? ……ですが、そうですね。強いて言うのなら、カルラが私にしか見せない表情を見せてくれたからですね」
「ふうん……(どんな顔してるのか気になるけど兄さんが怖いから止めておこう)」
ニコニコしているユリアとそっぽを向いたカルラ。それでも二人の間には確かな想いがあった。シンは、二人が幸せであるならそれで良いと思うのだった。
「……(それでも無自覚でいちゃつくのは止めて欲しいな)」
苦労人のシンは今日もいちゃラブな二人の姿を嫌でも目に焼き付けるのだった。
@@後書き@@
・これはいちゃラブなのだろうか……。
・ユイちゃん視点で書きにくかったのでモブ視点に。
・苦労人のシンが可愛い。
・少し物足りない感がある気がする。
・申し訳ないm(__)m
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