You can't run away.
・普通の女の子がいきなり無神家に誘拐されてしまう話。
いつものように起きて、いつものように朝ごはんを食べて、いつものように学校に向かう。
何の変哲もない日常を送る私は、そこら辺にいるような只の女子高生だ。
退屈な授業を受け、昼休みは友達とお弁当を食べ、放課後は部活に勤しむ。本当に只の普通な女子高生なのだ。それなのに、
――それなのに何故?
「お前がユリアか」
「はい?」
帰宅途中の私の前に現れたのは、黒髪で毛先に白っぽいグラデーションの入ったイケメンの男の人。
「……あの、私急いでるので」
私はその人の横を通りすぎようとした。
「だ〜め」
私の腕を掴んできたのはさっきの黒髪の人とは違う声をしていた。振り返ってみると、そこにはテレビでしか見たことのない、あの人気アイドルのコウくんがニコニコしながら私の腕を掴んでいた。
「えっ? コウくん?!」
私は軽くパニック状態になってしまった。でも、怖いことには変わりなかった。
「……コウのこと、知ってるんだ」
「っ!?」
「おい、アズサ。お前のせいでそいつの顔がブサイクになってんぞ」
いつのまにか背後に立っていたのはベレー帽を被って顔に傷がある男の人。彼はアズサと言うらしい。そしてその少し後ろに三人よりも飛び抜けて背が高く、目付きの怖い茶髪の男の人がいた。
「え、あっあの!? 私、」
どうして私がこんなイケメン四人に囲まれなければいけないのだろうか。
「俺達はお前を探していた」
黒髪の人がそう言って私に近づいた。
「……でも、私は」
「そうだよね、俺のこと知ってても他の兄弟のことは知らないよね」
コウくんは「あはは」と笑った。腕はまだ彼に掴まれたまま。
「私に何の用ですか……?」
きっと、私の顔は驚きと恐怖の入り交じった表情になっているのだろう。
「怖い……の?」
じっとこちらを見てきたベレー帽の人がそう指摘してきたから。
「はは、マヌケ面」
茶髪の彼は私の顔を見るなり、笑って乏した。
「ルキくん、早く連れてこうよ」
「そうだな」
黒髪の人はルキと言うらしい。彼はコウくんの言葉に頷いて、戸惑うばかりの私に視線を合わせた。
「悪いが、お前の意思に反していようと俺達について来てもらうぞ」
ブルーグレーの瞳に目を背けることが出来ずに、私は固まったまま動けなかった。
@@後書き@@
・短くなってしまった(^^;)
……申し訳ないです。
・絶対にユーマとかいたら怖くて動けない気がします。
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