Without separating, please hug it.
・シン成り代わり(5万打の時の続編)






逆巻の長男であるシュウに言い寄られた後。屋敷に帰る間中、カルラ兄さんとの会話は全くと言っていいほどありませんでした。兄さんから話をするのは極稀で、いつもは私が話しかけています。しかし、今の兄さんの様子を見て、話しかけるのはいけない雰囲気です。
多分、カルラ兄さんは怒っているのです。私が逆巻シュウの言ってきたことを復唱したからでしょう。よく分かりませんでしたが、私はとんでもないことを言っていたようで、兄さんのあの様子からすると、かなり酷いのでしょう。ちゃんと英語を勉強しておくべきでした。でも、今は英国ではなく日本にいるので、勉強しても意味はなさないと気づいたのでまた今度にしますか。



カルラ兄さんと二人で住んでいる屋敷に着くと、今まで手を引いていた兄さんが手を離し、代わりに私を抱き締めてきました。


「カルラ兄さん……?」

突然のことに驚いた私は兄さんの名前を呼ぶことしかできませんでした。

「ユリア」

兄さんは私の名前を呼んで、さらにぎゅっとしました。これは、……甘えているんでしょうか? それとも、私が逆巻シュウに言い寄られたことを心配しているのでしょうか。

「兄さん、私は兄さんから離れていったりはしないよ?」

背伸びをしてカルラ兄さんの綺麗な髪を撫でながら私はそう言います。そうすると兄さんは少し抱き締める腕を緩めました。

「……心配した。……ユリアがやつに……盗られるのではないかと、思った」

ぽつりぽつりと兄さんが言葉を紡ぎました。

「私は不満だった。……ここに来たことで、お前が他の人間と話せるようになるのが」

「でも、私は人との接し方なんて忘れてしまったから、カルラ兄さんがそんなに心配するほどじゃ」

「それでも、私はユリアが離れていく気がしたのだ」

私の肩に顔を埋めたカルラ兄さんは小さくそう言いました。

「カルラ兄さん」

「……何だ」

兄さんの背中に腕を回し、私は言いました。


「兄さん、私は離れたりしません。カルラ兄さんが好きですから。だから、カルラ兄さんも私を離さないで」

これは私の精一杯の兄さんへの甘やかしです。


「そう、か。……ユリア」

「?」

「昔のように一緒に眠ってくれないか」


今日はお前を離したくない。
いや、これからもずっと……だ。


兄さんはそう言って私と同じ金色の瞳で見つめてきました。


「はい」


私はそれに応えるように、兄さんを自分の瞳に写したのでした。











@@後書き@@
・カルラのキャラ崩壊が酷い。
・なんか甘い。
・シスコン、ブラコンである。
・書いてて思ったのは「なにこいつら可愛い」
・こんなものでどうでしょう。



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