Brotherly affection
・コウ成り代わり♀無神兄弟夢。アイドルをしている夢主がしつこいファン(男)に絡まれている所を無神兄弟達が華麗に撃退。家族>ファンな夢主。兄弟は夢主を純愛。
・毒舌夢主




ほーんと困るんだよね。ま、アイドルだから仕方ないか。本当はやるつもりなんて無かったのに、あのカールハインツが勝手に応募用紙を送っちゃって一次通過して、二次審査行けっていきなり言われて、なんか歌えって言われたからカラオケ感覚で歌ったら受かっちゃったんだよね。歌うのは好きだったから別に良かったんだけど、ファンサービスとか苦手で嫌い。だって、嫌なやつが来ても笑顔で対応しなきゃでしょ? 作り笑いなんてあんまりしたくない。だって昔を思い出すから。

あーあ、よりによってマネージャーが居ないときにファンが来るなんて最悪。

「ユリアちゃん、僕はキミの大ファンなんだ!! キミのことなら何でも知ってるよっ!!」

「ありがとー。うれしい」

全然そう思ってないけどね。というかキモい。
事務所の前でマネージャーを待っていた私に話しかけてきたのはいかにもアイドルオタクです!! みたいな格好をした男性ファン。なんか「はあはあ」言っててキモい。「それでね、ユリアちゃん。僕はキミにずっとずっと言いたいことがあったんだ」
キモいから近づかないでほしい。
だけど無下にする訳にもいかないから営業スマイルをした。

「僕、ユリアちゃんが好きなんだ。だから僕と」

「ごめんねー、そーいうの事務所とかマネージャーにも言われてて駄目なんだ」

というか、止められてなくてもお前みたいなキモ男と付き合うとかないから。ルキみたいに頭が良いとか、ユーマみたいに大きな背中とか、アズサみたいな可愛さがあるとか、少しでもその項目に当てはまってない男なんて願い下げだ。望みを持ちすぎとか言われるけどよく考えなよ、だってあの三人は私の大切な兄弟なんだから。容姿も性格も中身も丸々含めて私が大好きなんだから仕方がない。

「でも、僕の気持ちは本気なんだ。そうだ、これ見てよ」

キモ男が背中のリュックから取り出したのはスクラップ帳みたいなものだった。
表紙をめくると、そこには私の写真や雑誌の記事の切り抜き、そして、撮影禁止のはずのライブの写真まであった。

「ほら、これで僕がキミのことを本気で好きだってこと分かるでしょう?」

気持ちが悪い。それに、なんかこいつストーカー紛いというか、なんというか。とにかくこいつは危ない。距離を保とうにも、キモ男は私のすぐ近くにいる。私は今、多分苦笑いを浮かべているに違いない。

「だから、「だから何だというんだ?」!? 誰だっ!!」

そんな私の前に現れたのは大好きな兄弟たちだった。

「さっきから見てりゃよ、お前ユリアに馴れ馴れしすぎんだよ」

「ひいっ!?」

ユーマの背が大きいのと、声も大きいのと、不良っぽさにびびったキモ男の顔は恐怖に染まっていた。

「まったく、どこがユリアのことを思っているというんだ。ユリアのことをよく知っていると言っていたが、貴様が知っているのはアイドルとしてのユリアだろう。貴様より俺たちの方が何倍もユリアをよく知っている」

威圧感のあるルキはキモ男にそう言った。

「……ユリア、大丈夫?」

私のそばに来ていたアズサは私を心配してくれた。



「なっ、誰なんだよお前たち!? 僕のユリアちゃんを奪う気なんだな!!」

だれがお前のユリアちゃんだ。

「奪う? 何言ってんだ。それはお前のほうだろ」

「……ユリアは俺とユーマのお姉ちゃんで」

「俺の可愛い妹だ」


今なんかキュンとした。ユーマはいつも頼りになって、ルキはいつも格好良いし、アズサはいつも可愛い。なのに今日はみんなものすごく格好良く見えた。

「は……、? そ、んな……」

「妹に手を出す不届者にはそれなりの罰を与えなければな」

「ユリアに手ぇだしてただで済むと思うなよ」

「覚悟、……してよ」


あ、これ絶対に好きな人出来ないや。だって三人が私の一番大好きな人たちなんだから。








@@後書き@@
・華麗に撃退……したかな? したことにしよう(おい)
・思ったより夢主が黒い。
・成り代わりの中で一番毒舌なのかもしれない。
・アイドルになったのは家族が応募したからみたいなことを書きたかったために、カールハインツが夢主に黙って応募した設定に。
・しかし、アズサがさりげなくイケメン。




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